敦盛(あつもり)
- 敦盛:観世・宝生・金春・金剛・喜多
- 能柄:二番目物・公達物・大小物
- 人物:
- 前ジテ・里の男[水衣男出立(着流または大口)]
- 後ジテ・平敦盛の霊[修羅物出立(十六)]
- ツレ・里の男[水衣男出立(着流または大口)]
- ワキ・蓮生法師(熊谷直美)[着流僧出立]
- アイ・里の男[肩衣半袴出立]
- 鑑賞:
一の谷の戦いで敦盛を手にかけた熊谷直実は、敦盛の菩提を弔うため出家し
蓮生という僧になっている。彼が須磨を訪れると、笛の音とともに草刈男たち
がやってくる。そして樵歌牧笛のことを話す。多くの草刈たちが帰った後、一
人の草刈が後に残り直実に十念を授けて欲しいと頼む。彼は敦盛の幽霊であっ
た。その正体を明かして消えて行く。(中入)。
熊谷が夜もすがら念仏を唱えて弔っていると、敦盛の霊が甲冑を着た武士の姿
で現れる。彼は平家がおごりたかぶっていたことと、都落ちをしたさまをを物
語り(クセ)、思い出の舞を舞い(中ノ舞)、戦いの前に笛を吹いたことを述べ(中ノリ地)などをするが、直美の弔いを喜び、
ともに蓮に生まれる身(仏)となったと述べて去って行く。