班女(はんじょ)
- 班女:観世・宝生・金春・金剛・喜多
- 能柄:四番物・大小物
- 人物:
- 前ジテ・花子(遊女)[唐織着流女出立(紅入)]
- 後ジテ・狂女(狂女)[唐織脱下女出立(紅入)]
- ワキ(後)・吉田少将[風折長絹大口出立]
- ワキヅレ・従者[素 上下出立]
- アイ・野上の宿の長[ビナン縫箔着流出立]
- 鑑賞:
美濃の野上の宿の遊女花子は、宿に泊まった吉田少将と深く契って以来、お
互いに取り交わした扇にばかり見入って他の客の席に出ない。花子は野上の宿
の長(アイ)から追い出される(中入)。再び野上
に来た少将は長に訪ねられて花子の追い出されたことを知ったが、花子の行方
は分からない。都に帰った少将が賀茂の社へ参拝する。そこに、若い狂女が来
かかる(カケリ等)。その狂女は、漢の班女の扇の故事から班女と呼ばれていた。
班女は恋人の扇を胸に抱いて再会を夢み、うつつ無いていで舞を舞ったりする
のだった((クセ・中ノ
舞)または(序ノ舞))。少将が見るとまぎれ
もない花子である。そこで、従者に命じて花子を呼び寄せ、取り交わした証拠
の扇を見せる。その扇からお互いを確認し、ふたりはもとの契りを結ぶのだっ
た。この能をパロディ化した狂言に「花子」がある。